すべての彼氏はトドである。ケモナー系の形をしたアラサーカップル共感マンガ——「トド彼」(高嶋あがさ)

2011年のケンタウロスマンガブーム以降なのか、「モンスター娘のいる日常」(オカヤド)の快進撃以降なのか、それともそれ以前からの定番とみるか、どこを契機とするかは難しいが、ここ数年で、一般商業誌における人外系作品、ケモナー向け作品の存在感は確実に増してきている。

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2人のソルシエ、2つの予感……今この瞬間だけの特別な光——「さよならソルシエ」(穂積)

若手と呼ばれる人間の最大の魅力は「予感」だ。何かすごいことが始まりそう、見たことのないものが出てきそう……そういうまだ形になっていない予感そのものが、人を強烈に惹きつける。それはときとして完成されたもの以上に強烈な引力を持つ場合すらある。

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アラサーの新たな旗手が描く、「29歳の自由」という不幸——「おんなのいえ」(鳥飼茜)

何年くらい前からだろう。アラサー女子という世代を、多くの女性作家が描くようになった。そして、そういう作家たちのなかで、今もっとも不確かな不安を的確に突いているのは鳥飼茜だと思う。

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「おっかない人」がくれるもの——「アリスと蔵六」(今井哲也)

僕らはときどき「おっかない人」のことを懐かしく思い出すことがある。頑固オヤジや学校の先生、トラディショナルなヤクザの親分……。実際に知っている人かどうかとは無関係に、おっかない人は、どこか僕らを懐かしい気持ちにさせる。

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本物の家族でないからこそ、かけがえのない瞬間がある——「箱庭へブン」(羽柴麻央)

羽柴麻央という人は、長いこと少女を描く人だった。キャラクターが実際に少女だということでもあるが、それ以上に“少女らしい繊細な感性”を描く人という印象だったということだ。

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“男の妊娠”はフィクションか、それとも現実か?——「ヒヤマケンタロウの妊娠」(坂井恵理)


「ヒヤマケンタロウの妊娠」(坂井恵理)
社会ドラマ:★★★★☆
ハートフル:★★★★☆
SF性:★★☆☆☆

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「パンツは布であり、同時に下着である」を理解できない不器用な男のバカバカしいかわいさ——「夜の須田課長」(クマザワミキコ)

家族とセックスするというのは難しい。現実問題としてできるかできないかというのは、嫁や子どもはおろか、彼女もいない僕には踏み込めない問題なのだけれども、少なくとも物語、理念モデルとしての恋愛、もしくはセックスというものは、家族とは相性が悪い。

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