かわいい絵で冷酷な展開の作品から、絵からして怖いものまで……マンガ家らがトラウママンガを語る


9日夜、Twitter上で「トラウマになったマンガ」の話題が盛り上がりを見せた。

きっかけと思われるのは劇場版「魔法少女まどか☆マギカ」についてのニュース。重い内容のアニメと知らずに本作を見に行く親子連れが目撃されていると報じられると、「子どものころに見たらトラウマになりそう」といった内容のコメントが相次ぎ、自身のトラウマ作品を語る流れが生まれたようだ。

「アバンチュリエ」などの作品で知られる森田崇氏は「「可愛い絵なのに…」って言うと、おらすでに手塚治虫がトラウマの嵐だっただよ」とコメント。「(手塚作品で)ちっちゃい可愛い女の子が容赦なくボロクズのように死んでる絵たくさん見たからねえ」「手塚治虫先生の描く黒焦げの死体怖いです(;_;)一瞬前まで可愛い笑顔で走り回ってたのに(;_;)」など、シビアな描写を回想した。

また、トラウママンガの定番「デビルマン」(永井豪)にも言及。「アニメ版好きだった幼少期の俺が原作読んだ時の衝撃は多分同じような不意打ちでしただよ 一日中世界がグルングルン回ってましただよ」とアニメ版とは異なる、衝撃の展開に触れたときの思い出を語っている。

この森田氏のつぶやきに北崎拓氏も反応。「なによりデビルマンがパンツはいていない事に衝撃を受けた小学生の頃。」と振り返っている。

マンガ原作者の七月鏡一氏は「サスケ」(白土三平)を挙げている。「アニメの最終回はキリシタンの村人を全員逃がすのに成功して、父ちゃん再婚してサスケには美人の姉ちゃん出来て大団円だが、原作はそっから先がひどいんだから。」と、こちらも「デビルマン」同様、アニメとはひと味違う原作のトラウマ展開が印象に残っているようだ。

井上和郎氏は、独特の絵柄も印象的な日野日出志の「地獄の子守唄」をピックアップ。「あんまり怖いんで、友達に読ませようと思って買ったはいいけど誰も借りなくて、家に置いておくのが怖くて捨てる。というのを何度かくり返しました。すいません日野先生。」と、手に取るのも怖い迫力について語っている。絵と物語のインパクトという点では、「半魚人」を挙げたわらいなく氏など、楳図かずお作品をトラウマと語る人も多かった。

「デビルマン」や「サスケ」、手塚作品、日野日出志作品、楳図かずお作品などはTLでも多くのユーザーが名前を挙げており、まさにトラウママンガの定番といえそうだ。

こうした定番どころ以外では、平野耕太氏が「餓鬼」(ちばてつや)銅☆萬福氏が「ノストラダムスはつぶやいた(「たとえばこんな幽霊奇談」に収録)」(楠桂)を挙げている。意外と取り上げる人は少なかったが、大野ツトム氏がピックアップした「ミノタウロスの皿」など藤子・F・不二雄作品もトラウマ系として納得できる部分が多い。

このほか、TLでは「ブラッドハーレーの馬車」(沙村広明)、「愛しのアイリーン」(新井英樹)、「四丁目の夕日」(山野一)などのタイトルが挙げられていた。

トラウママンガというと恐ろしさが強調されてしまうが、読者に忘れられない衝撃を与えられるのはやはり作品に力がある証。ちょっと怖いけれど、この機会に未読のトラウマ作品を読んでみるのもいいかも? なお、編集部オススメのトラウマ作品は「さくらの唄」(安達哲)。心をえぐる傑作青春譚だ。








記事:ネルヤ編集部

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