東京という限界集落を生きる彼女たち——『東京タラレバ娘』(東村アキコ)

いわゆる女性マンガにおいて、独身アラサー/アラフォーというテーマはここ数年(といってももう5年以上の単位で)定番のひとつになっている。シリアスに現実を描き出そうとするものもあれば、コメディとして描くものもあるし、その年齢層向けに少女マンガ的な夢を与え直そうとするアプローチもある。作家でいえば、西炯子がいて、渡辺ペコがいて、今ど真ん中にはたぶん鳥飼茜がいる。鴨居まさねや入江喜和も大きな枠組みでは周辺にいる。

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メイクがくれる「身の丈」を超える勇気――「リメイク」(六多いくみ)

「身の丈を知る」っていうのは大事なことだ。無根拠な自信と肥大化したプライドを持つ続けたまま生きていくっていうのは、できるかもしれないけど、並大抵のことではない。けど、身の丈を知って、大人になった頃、偉い人たちから「身の程なんて知らなくていい!」なんてメッセージを受けたりする。「小さくまとまるな」というやつだ。思い返すと、僕も「じゃあ、結局どうすりゃいいのよ」と、随分戸惑ったり苛立ったりしてた気がする。

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アラサーの新たな旗手が描く、「29歳の自由」という不幸——「おんなのいえ」(鳥飼茜)

何年くらい前からだろう。アラサー女子という世代を、多くの女性作家が描くようになった。そして、そういう作家たちのなかで、今もっとも不確かな不安を的確に突いているのは鳥飼茜だと思う。

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