8月7日は野比のび太の誕生日。Twitter上でものび太に対する祝福コメントがたくさん上がっています。
のび太といったら、何でも載っている未来の百科事典にも「勉強もスポーツも苦手、おっちょこちょい、弱虫でノロマ」と記載されてしまっているほどの、いわばダメっ子の代名詞的存在。しかし、そんなのび太ですが、ファンの方はよくご存じのとおり、数々の偉業も残しているんですね。
今回はのび太の誕生日記念ということで、普段あまりスポットの当たらない、彼の偉業をてんとう虫コミックス「ドラえもん」から抜粋してご紹介しましょう。
まずは小さなところから。
崖崩れにあった人を助け出したりと、人助けのエピソードはたくさんありますが、実は身近な人の命の恩人(?)となったこともあります。
それはジャイアンの父親。てんとう虫コミックス22巻「無事故でけがをした話」で、ジャイアンの父親はひき逃げにあい、「病院でうなってる」というひどい状態に。ジャイアンは犯人を突き止めてほしいとのび太に依頼し、のび太はタイムマシンで事故現場へ向かい、犯人の車の写真を撮ります。しかし、そもそもここで自分が止めれば、ジャイアンの父親は事故にあわずにすむ。そう気付いたのび太は、強引にジャイアンの父を引き留め、事故を未然に防いでいます。
過去を変えたのび太は最終的にその報いを受けることになるのですが、一歩間違えば命が危なかったかもしれないジャイアンの父親を救ったのは事実。剛田一家の恩人なんですね。
てんとう虫コミックス34巻「ヤジウマアンテナ」では、町を大火事から救ったことも。火事や事故の決定的瞬間を目撃した話で盛り上がるジャイアンやスネ夫たちを見て、自分も事故現場を目撃したいと言い出すのび太。「人の災難をおもしろがるなんて最低だぞ!」と怒るドラえもんをなだめすかして、何かが起こる場所を事前に教えてくれる秘密道具「ヤジウマアンテナ」を出してもらいます。
興味本位で事件を探すのび太が、最後に見つけたのがなんと居眠り運転のトラックがガソリンスタンドに突撃するという大事故。あたり一面が火の海になる惨劇の発生を知ったのび太たちは、当日その事故を未然に防ぎます。タケコプターでふらっと出かけていることを考えると、現場はおそらく東京都内、のび太たちの町のごく近く。東京の歴史に残る大惨事から人々を救ったわけですね。
カルチャー面でものび太の功績はあります。てんとう虫コミックス16巻「宇宙ターザン」では、人気がなくなり、打ち切りの危機に瀕した特撮番組「宇宙ターザン」の復活に手を貸します。
「宇宙ターザン」の大ファンであるのび太は、予算がなくて本格的なセットが組めなくなった番組スタッフを、こっそり白亜紀へと連れて行き、本物の恐竜を使って番組撮影を行わせます。時代設定的にはCGもない頃、超リアルなセット(というか本物)を特撮番組に持ち込ませたのび太は、特撮界の知られざる神様といっていいでしょう。
ちなみにこの「宇宙ターザン」、ネットでちょっと話題になっている「ほんとのファンなら、落ち目の時にこそおうえんしなくちゃ」というセリフが出てきたエピソードでもあります。
藤子・F・不二雄先生のほかの作品を救ったエピソードも。てんとう虫コミックス32巻「オンボロ旅館をたて直せ」では、タイトルどおり、傾いたボロ旅館の経営の危機をドラえもんとともに救うのですが、このホテルの名前が「つづれ屋」。そう、同じく藤子・F作品の「21エモン」のホテルの名前なんですね。
このホテルの跡継ぎ息子の名前も19エモンですから、21エモンのご先祖様にあたる可能性が非常に高いわけです。もしかしたら、のび太は「21エモン」の恩人でもあるのかも?
大長編では宇宙を股にかけて冒険することも多いのび太ですが、いつもの日常シリーズでも宇宙へ冒険するエピソードはけっこうあります。
なかでも、大冒険なのがてんとう虫コミックス21巻「行け! ノビタマン」です。「宇宙救命ボート」に乗って遠い星へ流れ着いてしまったのび太とドラえもんですが、たどり着いた先は地球よりも重力が弱い星。普通の筋力でも、重力の弱い星ではスーパーマンということで、のび太たちはこの星で大活躍し、ギャングたちを一掃、英雄として映画のモデルにまでなります。
重力の弱い星というモチーフは大長編「のび太の宇宙開拓史」でも使われていますが、のび太が秘密道具に頼らず英雄になっている点がちょっと珍しいエピソードといえるでしょう。一見の価値あり!
ちなみに、こちらはドラミちゃんの道具に頼ってですが、てんとう虫コミックス24巻「ガンファイターのび太」では、西部劇時代の伝説のガンマンとして語り継がれてもいます。本物の拳銃にすくんでしまって、射撃の腕前を発揮できなかったのはちょっと残念ですが。
伝説といえば、昔話の主人公になったこともあります。てんとう虫コミックス9巻の「ぼく、桃太郎のなんなのさ」では、やはり藤子・F作品の登場人物であるバケルくんと一緒に、桃太郎伝説の謎解明に挑み、最終的にのび太自身が桃太郎を演じることに。
このエピソードは過去に映画にもなったことがあるので、知っている人も多いでしょうか。
のび太伝説、極めつけともいえるのがてんとう虫コミックス22巻の「のら犬『イチ』の国」。行き場のない野良犬たちを、秘密道具で進化させ、人間がいない時代へ移住させるの有名なエピソードです。
過去に移住した動物たちは文明社会を築いていくのですが、そこでのび太は神様として神殿にまつられ、それが3億年後の現代に遺跡から発掘されることになります。のび太は建国神話の神様というわけですね。のび太、スケールのでかい男!
「偉業といっても、ドラえもんの道具のおかげばかりじゃないか」という人に、最後にひとつ、のび太のイメージを覆すエピソードを。
てんとう虫コミックス14巻「無人島に家出」で、のび太は例によって家出を敢行するのですが、このときの家出は桁違い。あやまってタケコプターをなくしてしまったのび太は、なんと10年にわたって無人島生活を余儀なくされるのです。
ドラえもんの道具に若干助けられる部分はあるのですが、便利な道具をたくさん持ってきているわけでもなく、基本的には無人島での自給自足暮らし。それで10年サバイブしてしまうですから、のび太って追い詰められると意外と頼りになるのかも……?
ちなみに、このエピソード、オチでは10年後助けに来たドラえもんに連れられ日本へ戻り、タイムふろしきで若返って子ども時代に戻るという凄まじいまとめ方をされています。アンサイクロペディアにも「無人島家出問題」というページがあるほど、ドラえもん史上に残る屈指の怪エピソードなんですね。
余談ですが、10年もサバイブしたのび太が帰るにあたって一番心配したのは「十年もどこへいってたって(両親に)おこられる」こと。呑気なのか、大物なのか……いずれにせよ、すごいぞ、のび太。
このほかにも絶滅動物を救ったり、地球の危機を回避したりと、大長編を覗いても、のび太の偉業は数え切れないほど。ダメっ子の代名詞ですが、誕生日くらいは彼の偉人ぶりを単行本で振り返ってみるのもいいかも。
記事:ネルヤ編集部
関連リンク
ドラえもんチャンネルへようこそ!
No comments yet.
この記事にコメントする