タイトルの「8」とは、渋谷駅前でご主人さまを待ち続けた忠犬のことではなくて、1話が8ページ単位であという意味。シンプルだしクリアだしわかりやすいのだが、悪くいえばヒネリなさすぎのタイトルである。
ところが、中身のほうは正反対。「羊の皮をかぶった狼」というか、シュールというかパンクというか、内村航平の必殺技3回ヒネリをはるかに上回る超絶ギャグの雨あられ! そのキョーレツさは、最初の3話分のタイトルだけを見るだけで伝わんじゃないか。
第1話 人間電子レンジ
第2話 手乗リーマン
第3話 インフムエンザ
どうよ? これで、内容を想像できる人がいたら、ワタシゃ心の底からひれ伏すぞ。
1話ごとにテーマも登場人物も違うから、1つの話を読んで爆笑して、いったんリセットして次の話でまた爆笑……の繰り返しになることウケアイ。手を変え品を変え、次から次へと笑いの波状攻撃を仕掛けてくる作者の術中に、見事にハマってしまうのだ。こういう8ページ作品が18話と、新人コミック大賞入選作の短編が1本掲載されている。
あ、そうそう。書き忘れたけど、これはギャグマンガである(遅いって)。それも、圧倒的というか爆発的なシュールさで底なしに笑える、上質のギャグマンガである。
私は吉田戦車ファンなのだけれど、その登場時のインパクトったら強烈だった。竹本友二氏は、それに比肩するほどのディープ・インパクトだと思う(これは作風どうこうの意味ではないよ?)。
何しろたった8ページしかないなかで、最初から最後までヒネってヒネってヒネり倒しているのだ。たとえば上で挙げた「人間電子レンジ」。冷めたお父さんをこのレンジに入れてチンすると、アツアツの熱血人間になってしまうという、設定からして技アリの話だ。
しかも、この不思議な世界をさらにヒネる。起・承・転・結ではなく、起・承・転・転・転・転・転・転……………結という感じ。もう楽しくてしょうがない。
結論。マンガを読んでムヒヒと笑いたい人は、つべこべ言わずに読むべし!
(このレビューは第2巻時点のものです)
記事:浮田キメラ
幼少時よりのマンガ狂で、
「上手にホラを吹いてくれる作品」が好み。
関連リンク
小学館 コミック -ビッグコミックスピリッツ~SPINET- 月刊スピリッツ
竹本友二のホームページ
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