「王国の子」(びっけ)
ファンタジー性:
悲劇の匂い:
色気:
権力の座にはいつも異臭が漂う。権謀術数、悪意、妬み、野心……そういう異臭だ。ある王女の影武者になった少年の運命をめぐる「王国の子」にも、色濃い権力の異臭が漂っており、それが純真な少年少女たちの物語に影を落としている。
だが、本作に漂う権力の異臭は、人が放っているものではない。もちろん悪意を持つ人間は登場する。だが、本質的に少年少女を翻弄しているのは、そういう人々ではなく、意志を持たないはずの王国というシステムそのものだ。絶対的な悪意すら存在しないところに生まれる悲劇の匂いが、「王国の子」には漂っている。そう、少年少女たちだけでなく、きっと本作に登場する誰もが、王国自体に翻弄される、“王国の子ども”なのだ。
【ここにも注目!】
“男装の麗人”も夢があるけれど、女性の影武者を演じる少年は、体格的にもやがて限界が訪れることを約束されている分、独特のはかなさがあるもの。色気ですなぁ。
(このレビューは第1巻時点のものです)
記事:ネルヤ編集部
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