上質な乙女刺激成分とミステリーの出会い——「マダム・プティ」(高尾滋)



「マダム・プティ」(高尾滋)
ロマンス度:★★★★½
ミステリー度:★★★½☆
かわいさ:★★★★½

久々に自分のなかの乙女回路を刺激されてしまった。何しろ、1920年代末のオリエント急行の旅だ。和装やレトロ感のある外套姿など、衣装を見ているだけでもワクワクッとさせる。さらに主人公は16歳のおてんば新妻! 16歳の妻、結婚というのは、一見男の夢のようだけれど、“憧れとしての結婚”をそのまま持ち越した姿という意味では、極めて乙女的なモチーフでもある。元気な少女のようで、凛とした婦人でもある主人公・万里子を見ているだけでもキュンとなる。

だが、物語はただ明るく楽しいロマンスにはとどまらない。オリエント急行という舞台が予感させるように、彼女の旅路はやがてミステリーの様相を見せ始める。恋心、ロマンスと謎、人々の思いが交錯しながら1巻は一つの停車駅にたどり着く。謎とともに解き明かされる彼女と、人々の心が、次にどんな場所へ向かうのか、僕のなかの乙女回路も、乙女でない回路も早く知りたいと囁いている。

【ここにも注目!】
1巻収録のわずかなエピソードだけでも、和装からドレス、寝間着ふうに給仕ふうなど、万里子の衣装がとにかく豊富。内面的な“顔”もたくさん垣間見える彼女だけれど、服装の七変化ぶりも楽しみのひとつだ。

(このレビューは第1巻時点のものです)

記事:ネルヤ編集部

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白泉社|別冊花とゆめ.com
マダム・プティ|花とゆめONLINE

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