「暗殺教室」(松井優征)
不気味さ:
ギャグ:
ヒューマン:
「独特の読み味・世界観」というものを持っている作品は少なくないが、ここまで不思議な作品はちょっとお目にかかったことがない。突如現れて月を破壊した謎の生物が、次に地球を破壊することを宣言。マッハ20で行動でき、軍隊すら手も足も出ない彼(?)が、なぜか中学校の教師になると言い出し、生徒たちは授業を受けながらその暗殺を狙うことになる、というのが本作のあらすじだ。
設定からして冗談なのか本気なのかわからないが、中身はさらに何と呼べばいいかわからない。謎の生物“殺せんせー”は、無敵とも思える破壊者でありながら、妙にほのぼのとしていて生徒思いの教師だし、物語もブラックユーモア的な設定でありつつ、「先生の事は嫌いでも暗殺の事は嫌いにならないで下さい」といったパロディネタを盛り込んだギャグであり、同時に“落ちこぼれ”といわれるクラスの生徒たちとの交流を描くヒューマンドラマでもある。地球の存亡をかけて暗殺を狙うという非日常的な話が、まるで普通の学園もののように日常系としても成立しているのだ。そして、何より“殺せんせー”の存在だ。“殺せんせー”は敵対し、殺すべき不気味な存在でありながら、どこかかわいらしく、そして信頼すべき存在だ。だから、生徒も読者も、暗殺の成功を望んでいるはずなのに、いつの間にか愛すべきヒーローや友人のように慕っている。徹底的に異端でありながら、軸は王道テーマという、奇妙なバランス感覚を持った作品なのだ。
【ここにも注目!】
“殺(ころ)せんせー”の発音は、公式Twitterによると「ドラゴンボール」と同じように、「ころ」の「ろ」で上がるのが正しいとのこと。「マロニーちゃん」のようなアクセントではないようなので、覚えておこう。
(このレビューは第1巻時点のものです)
記事:ネルヤ編集部
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暗殺教室|連載作品|集英社『週刊少年ジャンプ』公式サイト shonenjump.com
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