正統派を少し外した、ちょっと黒いヒロインたち――「ティーンズカンパニー」(吉井マリ)



「ティーンズカンパニー」(吉井マリ)
爽やかさ:★★★☆☆
性格の黒さ:★★★★☆
期待感:★★★★☆

少女マンガのヒロインには条件がある。容姿は平凡(という設定)でかまわない。だけど、性格はよくなくちゃいけない。だから、少女マンガでライバルやバイプレイヤーを務めるのは、たいていヒロイン像とは逆に“容姿はいいけれど性格にひと癖ある女の子”だ。

吉井マリの作品集「ティーンズカンパニー」は、そういう定石を少し外してきている。表題作は、お金持ちになりたくて、リッチな同級生男子に近づく女の子が主人公。つづく「REMEMBER 4 SIDE」も、美人だけど黒い一面を持ったヒロインが主役となって話が進む。自分の欠点、特に運動や容姿など先天的資質に関わる部分でなく、性格や行動のように一見自分でコントロールできそうな面の悪さに面と向かって対峙するのは、かなりキツい。「ティーンズカンパニー」の作品群には、自分の醜い部分を発見してしまったときの辛さと、それと向き合う勇気が少しずつ垣間見えている。荒削りな部分はあるけれど、この資質が本格的に開花したら……と期待感を抱かせる作品集だ。

【ここにも注目!】
ヒロイン陣は少し黒い部分を抱えているが、男の子陣は正統派。そのまっすぐさでヒロインを変えてくれるような、まばゆさがある。

記事:ネルヤ編集部

関連リンク
ティーンズカンパニー| マーガレットコミックス|BOOKNAVI|集英社

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