今年もさっそく「あだち帯」が登場しましたよという話


編集長が1週間のマンガの話を何となく語る本コラム。今週は「あだち帯」が出たぞーという話。

■新年早々、「あだち帯」が出ましたね

来てしまった。2月が来てしまった。僕が1年でもっとも嫌いな季節だ。まず寒い。そして、中途半端に短い。あと、寒い。3月の寒さは「もうすぐ春だ」と思えば堪え忍べるのだけど、2月は容赦ない。まだ春は遠いし、途中にバレン……何とか?とかいうイベントがあったりして、よくわからないけど心も冷える。夢も希望のない底冷え。

そんな夢も希望もない2月も、マンガはちゃんと出てくれるので本当にありがたい。よかった。マンガがなかったら心が折れていた。そんなわけで、いつもどおり週末いそいそと書店に買い出しに出かけ、新刊をチェックしていたら、「あだち帯」を見つけた。

「あだち帯」とは、読んで字の如く「あだち充先生がコメントを書いた帯」のことだ。別に名付けるほどのものではないのだが、「あだち帯」は僕にとってちょっと特別なのだ。で、今回の「あだち帯」は「明日には上がります。」(水口尚樹)1巻についていた。

■去年もっとも衝撃的だったのは二ノ宮知子先生の帯

帯コメントというのは、毎月、毎週膨大な量の新刊が出るなかで、少しでも読者の目にとまるように書かれるものなので、一般的には作者よりも有名な人が書くケースが多い。だから、巨匠がコメントを寄せることも珍しくないわけだ。

余談だが、去年見た帯のなかでもっとも衝撃的だったのは、二ノ宮知子先生の「87CLOCKERS」だ。二ノ宮先生自身が「のだめカンタービレ」を大ヒットさせた有名作家であるため、それより有名な人というのがなかなかいないということもあったのだろう。2巻では帯で二ノ宮知子先生自身が直筆コメント(作品紹介)を書いているのだ。まさかのセルフ帯。その手があったかという感じ。

■ほぼ1年に1回ペースで登場する「あだち帯」

さっそく脱線してしまったが、「あだち帯」の話だ。巨匠の帯コメントは珍しくないと書いたが、なんでわざわざ名前まで付けているかというと、ここ何年か、あだち充先生はけっこうな頻度で帯に登場しており、小学館作品ではすでに常連という感じになっているからだ。

僕が記憶している限りでは、皮切りになったのは2008年2月刊の「アオイホノオ」(島本和彦)で、このときの帯が「あだち充氏、高橋留美子氏激怒!?」だった。島本先生のデビュー前夜を描いた自伝的フィクションということで、あだち先生や高橋先生も実名で登場するためこういう帯になっていたわけだが、これは本当にインパクトがあった。実際中身も「よく描いたな!」というセリフだらけなんだけど(笑)。

その後少し間を置いて出てきたのが、2010年8月に発売された「信長協奏曲」(石井まゆみ)の3巻だ。このときも、高橋留美子先生と並んで「あだち充氏 愛読!」と大きく帯に名前が入った。小学館のビッグネーム2人が並んでの登場はインパクトが大きく、かなり驚いたのを覚えている。

そんなことを思っていると、約半年後の2011年3月には「バレてるよ! ジャンボリーヌ」(かんばまゆこ)の帯にあだち先生登場。「帯コメントですか? 書きますよ 頼まれれば何でも たとえ『かんばまゆこ』でも…」と、ネタコメントを寄せている。このときは、あだち充画業40周年記念企画でかんば先生が強烈な「タッチ」のパロディを描いたのがきっかけ。ちなみに、この4Pパロディはコミックナタリーで公開されているので、今も読める。どういう作品かというと、「南を断崖絶壁に連れてってほしいっちゃ☆」みたいな作品だ。

そして翌2012年11月には島本和彦先生の画業30周年記念作品集「熱血時代 アオイホノオからの30年」にあだち先生再登場。ここでも「熱血一筋30年! いやァ、めでたいですなァ! 直接会って文句言わなきゃ!」と食ってかかってきている。

そして、今年1月に「あだち帯」が登場したのが「明日には上がります。」というわけだ。マンガ家マンガである本作では、「マンガ家ならリア充よりあだ充(あだじゅう)だろうが!!」という、あだち充ネタ回がある関係で帯コメントを寄せている。何と書いてかるかは、発売したばかりだし、ぜひ書店で確認してもらえればと思う。うん、まぁ、この流れから、何書いてあるかだいたい予想はつくと思うけどね!

■あだち帯は「あだち先生、愛されてるなぁ」の証

そんなわけで、当初こそ「あのあだち充が!!!」みたいなプレミア感があったあだち先生だが、帯に関していえばすっかり常連感が出てきている。だから、正直一時期は「またあだち先生か!!」みたいな気持ちもあったんだけれど、最近は「おおむね年に1回は帯に登場される」というのが自分のなかで風物詩化してきて、「お、今年はこの作品か」みたいなほっこりした気持ちになっている。

過去の帯の例を見ていただくとわかるとおり、ここ最近のあだち先生の帯の歴史は、小学館作品における「あだち充ネタ」の歴史にもなっている(「信長協奏曲」は除く)。要するに「あだち帯」は、あだち先生から作品への愛のエールであると同時に、「あだち充先生が愛されてる証」でもあるのだと思う。そういうところが、「あだち帯」の面白いところなのだ。

だから、僕はこれからもあだち先生が帯を書いたら何も考えずに買い続けると思う。

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記事:小林聖
フリーライター。ネルヤ編集長。最近、読むナビさんでオススメ紹介を始めました。Twitterアカウントは@frog88

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