毒っ気たっぷりの女子高生たちを貫く神秘性――「平成生まれ」(ハトポポコ)



「平成生まれ」(ハトポポコ)

シュール度:★★★★½
萌え:★★★★☆
ミステリアス:★★★★½

萌えて笑える女子高生4コマといったら、「あずまんが大王」(あずまきよひこ)が開拓した一大ジャンルだ。シュール系日常4コマ「平成生まれ」(ハトポポコ)も、いわばその流れの作品だ。だが、読み味はいわゆる萌え4コマとは違う。スタイルのいい子を見てはイラつき、でも「バカそうだから許す」とか言い出す佐藤さんは人をイラッとさせるタイプ。美人の藤井さんはいつもキラキラしてるけどバカだし、高身長の原田さんに関しては説明できない。意味が分からない。全体的に投げっぱなしシュールギャグの連発で笑わせつつ、でも、かわいいのでいろいろ許してしまう。

そういう奇妙な作風を「平成生まれ」というタイトルはうまく射貫いている。平成になって24年もたつので、読者でも実際平成生まれという人はもう珍しくないだろうが、単に女子高生よりも“平成生まれ”というフレーズは神秘性を持っている。どこか自分たちには理解できない人種だという響きだ。本作のシュールなキャラクターたちには、もちろんリアリティはない。実際にいそうだとはまったく思えない。だけど、平成生まれたちの世界では、なんだかありそうな気がするのだ。シュールだけど日常系、萌えだけどギャグというアンビバレントな作風を飲み込む一種の神秘性が“平成生まれ”というフレーズには閉じ込められている。

【ここにも注目!】
2巻帯の背の部分(作者名が入ることが多いスペース)には「歯とポポコ」というフレーズ。作者名ボケにしても、意味が分からない「ポポコ」部分、そのまま放置かよ!という投げっぱなしぶりがキてる。

(本作は2巻完結です)

記事:ネルヤ編集部

関連リンク
まんがタイムきらら – 作品紹介ページ – まんがタイムきららWeb

No comments yet.

この記事にコメントする

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)