「となりの山田さん」(古閑裕一郎)
古典ラブコメ感:
エロハプニング発生度:
先の読めなさ:
ラブコメっていうのは基本的にはシンプルだ。主人公がいて、ヒロインがいる。そして、結末は2人が結ばれる。原則としてそれはすでに最初から約束されている。だから、ラブコメは障害を用意しなくてはならない。何の障害もなければ、ラブコメは物語になり得ないのだ。そして、その障害は「学園のマドンナ」という格差や競争率の高さであってもいいし、「甲子園に連れてって」でもいい。
「となりの山田さん」は、その障害の設定がちょっと特殊な作品だ。ベースは、クラスの地味な女の子・山田さんが、メガネを取ったら実はものすごい美人であることを知った主人公が恋に落ちるという、笑っちゃうくらいの古典。では、その恋の障害は何か? 極度にシャイで女の子の前に出るとまともに喋れないという主人公の設定が障害といえば障害なのだが、実はそれよりも大きいのが、山田さんが一体全体何者なのかわからないということだ。もちろん山田さんはクラスメイトの女の子なのだけど、物語のなかで彼女は不思議な力を発揮する。しかも、恋愛のほうのストーリーが進んでいっても、なかなかその秘密の正体が明かされない。だから、恋愛のほうはごくごく普通なのに、まるでジェットコースターロマンスのように、読者を先の読めない物語に引き込んでいく。ベタでご都合主義的モテモテラブコメでありながら、1巻のこの疾走感は新鮮だ。
【ここにも注目!】
「貧乳はステータスだ」というフレーズに象徴されるように、ヒロインの造形がとにかく多様化しているなかで、臆面もなく「メインの女の子たちはみんな巨乳!!」というこの感じが逆に新鮮。「ああ、正しいエッチさだな」と思わせてくれる。
(このレビューは第1巻時点のものです)
記事:ネルヤ編集部
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