タイトル詐欺注意。「ほどほど」企画を極上に仕上げる手腕――「ほどほど日記」(みずしな孝之)



「ほどほど日記」(みずしな孝之)
ほどほど感:★★★☆☆
寝る前に少しずつ読みたい:★★★★☆
老若男女問わず読める:★★★★★

タイトル詐欺というのがある。何しろ作品にとってタイトルというのはもっとも目を引き、かつ露出が多くなる要素のひとつだ。ここでグッと読者をつかめれば、購買にもつながってくる。だから、実際の内容よりも誇張したタイトルで読者を釣り上げようとする作品がしばしばある。

だが、「ほどほど日記」は、逆タイトル詐欺だ。本作は確かに「ほどほど」感に溢れている。何しろ「日記」といっても、内容は事実上何でもありというエッセイ4コマで、テーマは子ども時代の回想もあれば、今のエピソードまで雑多。切り口だってブームに乗っかるような派手なものではない。企画がゆるく、“ほどほどに日記の体をなしている”という意味ではほどほどではある。が、面白さは「ほどほど」どころではない。ダイヤルロック式の郵便受けの暗証番号を忘れた話、パソコンのDVD排出機構が壊れたときの対処法、子どもの頃運動会のあめ玉探し競争でスタート前からコッソリ飴を仕込んだみずしな少年の顛末などなど、どれも派手ではないのに、爆笑させられる。「ほどほど」の切り口を極上に仕立て上げるみずしな孝之は、やっぱり天才だと思う。

【ここにも注目!】
裏表紙側の初版帯には発行元からのメッセージが入っている。で、もちろん版元のメッセージなのだから、本作がいかに面白いかを熱く語りかけてくるのが普通なのだが、デジタル・コンテンツ・パブリッシングさんはひと味違う。会社として2冊目の単行本を上梓した喜びとお礼を述べ、「一種の人命救助、ボランティアだと思って弊社の製品をご購入いただけますようお願い申し上げます」と泣き落としてくる。作品内容とか一切なし。こういう会社、大好きです。

(本作は1巻完結です)

記事:ネルヤ編集部

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