このSFは「すこし・ふつう」だ! 日常に擬態した異世界――「成程」(平方イコルスン)



「成程」(平方イコルスン)
日常度:★☆☆☆☆★★★☆☆
シュール度:★★★★☆
変幻自在度:★★★★★

日本のマンガには藤子・F・不二雄がいうところのSF(すこし・ふしぎ)というジャンルがあって、日常にちょっとだけ不思議・異物が入ってくる世界を描いている。ショート作品集「成程」は、いわばその逆、SF(すこし・ふつう)だ。

普通の教室、普通の女子高生、普通の日常。一見日常の会話劇かのように始まるショートは、ねちっこい独特のセリフ回しと一体になって、いつの間にか非日常に着地する。なかには「実際に起こりうる」話で、SFとは呼びがたいものもある。しかし、実際にはそこはもはやイコルスンワールドとしかいいようのない異世界だ。彼氏ができた友だちへの尋問会、誰のものかわからないヘルメット、校内に濠を求める釣り部の面々……どこからが異世界でどこからが普通なのかわからない、この想像力は必見!!

【ここにも注目!】
書影だけではわからないが、本作はB5サイズ。わかりやすくいうと週刊少年ジャンプなど少年マンガ雑誌と同じと、かなり大きめ。そのおかげで「性的寄り道」の掲示板に貼ってある小さなプリントの小さな文字などもバッチリ読める。こんなところまで描き込んだ執念を堪能させてくれる作りは、さすが楽園(掲載誌)レーベルだ!

(本作は1巻完結です)

記事:ネルヤ編集部

関連リンク
楽園 | 白泉社
成程|白泉社(試し読み)

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