「この音とまれ!」(アミュー)
熱血:
友情:
信念:
競技カルタというものを多くの人に知らしめた「ちはやふる」(末次由紀)、書道を扱った「とめはねっ!鈴里高校書道部」(河合克敏)、三味線を題材にした「ましろのおと」(羅川真里茂)など、ここ数年、和文化の部活はヒットジャンルになっている。そんななか登場したのが、箏(こと)をテーマにした青春劇である「この音とまれ!」だ。
知ってはいても、実際に触れる機会が少ない文化を扱うとき、やはり重要になるのはつかみ。競技カルタや三味線が、一般的なイメージとどう違うかや、どう魅力的なのかという導入から入るのが常道だろう。だが、本作ではそういう知識的な部分から始めなかった。第1話には、演奏シーンらしい演奏シーンがなく、箏についてもほとんど触れられていない。では、何を描いているかといったら、2人の少年の出会いだ。侮蔑や偏見のまなざしにさらされ、周囲から浮いている少年たちが、箏を通じた奇妙な縁で出会い、信じることを知る見事な青春友情譚だ。物語は1巻後半からようやく、少しずつ箏マンガらしくなってくる。それでも決して展開が遅いとか、地味だとか感じないのは、胸打つ青春譚としての背骨がしっかりしているからなのだ。
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「四月は君の嘘」(新川直司)
(このレビューは第1巻時点のものです)
記事:ネルヤ編集部
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