「戦闘破壊学園ダンゲロス」(漫画:横田卓馬/原作:架神恭介)
悪ふざけパロディ:
本格能力バトル:
演出力:
突然変異的に特殊な能力を手に入れた高校生が能力バトルを繰り広げる……男なら若い時分に一度はそんな話を想像したことがあるんじゃないだろうか。特殊な能力に目覚めた“魔人”が集まる学園で、生徒会グループと番長グループが命がけの抗争を繰り広げる本作は、アウトラインだけ見れば、安直な学園バトルモノだ。
が、中身はちっとも安直ではない。というより、安直な切り口をこれでもかというほど煮詰めることで、“パロディ、ギャグにしてガチのバトル”という異色の作品に仕上げている。生徒たちが使う特殊能力からして、キている。たとえば、本作を象徴する能力のひとつに「災玉」というものがあるのだが、これは、金玉を爆発させる能力。比喩でなく、男性の金玉を破裂させて殺す。完全に悪ふざけなのだが、「災玉」が発動するきっかけとなったエピソードも、そして実際にバトルで使用したときの厄介さも実にヘビーで、単なる出オチになっていない。マンガらしいハッタリに満ちた破天荒な世界観だが、一方で世界を貫くルールはきちんと定められており、それが本作に単なる戯言でない手触りを与えている。悪ふざけを徹底的に煮詰めたギャグともガチともとれない読み味は唯一無二。
【ここにも注目!】
何といっても設定や物語の破天荒さに目を引かれる本作だが、ギャグなのか本気なのかわからない世界観をビジュアライズする作画力も秀逸。変にギャグに寄せず、マジメな学園バトルのように描くことで、バトルの魅力を引き出し、かつ設定のバカバカしさを際立てている。圧巻。
(このレビューは第2巻時点のものです)
記事:ネルヤ編集部
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