カレーは読み物! 3500円で買えるカレーマンガ


安倍晋三氏が総裁選の日に「3500円のカツカレーを食べた」という話からTwitterでは空前のカツカレー&3500円ブームが起こっていますが、ネルヤ的にはカレーは読み物であり、3500円は書籍費。カツカレーもいいけれど、まずはカレーマンガを読むべきです。しかも、カレーマンガなら何度読んでもなくならない!! おトク!!

というわけで、今回はカレーマンガをピックアップ。カレーマンガといったら世界初のカレーマンガこと「華麗なる食卓」(ふなつ一輝/監修:森枝卓士)や、自称・カレー将軍が登場する「包丁人味平」(原作:牛次郎/画:ビッグ錠)のカレー戦争編など、枚挙に暇がありませんが、そんなにたくさん気軽には買えないでしょう。「華麗なる食卓」だけでも現時点で47冊(10月19日には48巻が発売)もありますから。そこで、予算を3500円に限定。3500円でたっぷりカレーを読めるラインナップをご紹介します。

まずはやっぱりこれ
食べにいけるカレーマンガ


「カラスヤサトシの日本びっくりカレー」(カラスヤサトシ)
食べたくなる度:★★★★★
実食しやすさ:★★★½☆
激辛志向:★★★★½

まず1品目は、レポートマンガ、エッセイマンガの名手であるカラスヤサトシによるカレーマンガ。日本一辛いカレーを出す店や、かつて37年継ぎ足し続けたカレーを出していた名店など、各地の名店カレーをレポートしており、読んだあと実際に食べに行くことができる。特にカラスヤサトシが激辛好きということで、激辛関連は充実。辛いというより痛いに近い味わいを求める人にはガイド本としてオススメ。レトルトカレーの食べ比べやカレーウンチクなどもあり、1冊まるごとカレー漬けの気分を味わえる作品だ。
価格:620円

おうちカレーをレベルアップ
今年最後の夏野菜カレーはいかが?


「きのう何食べた?」(よしながふみ)5巻
食べたくなる度:★★★★☆
実食しやすさ:★★★½☆
低予算度:★★★★½

2品目はお料理×日常マンガの傑作。毎回いろんな自宅料理を扱う本作にも、もちろんカレー回はあり、5巻収録の第35話で夏野菜カレーを作っている。数ある料理マンガのなかでも本作が嬉しいのは、本当に日常的に作ることを考えて献立が考えられている点。もちろん副菜や小鉢まで充実した作中のメニューをそのまま毎日作るのは、品数的にいっても大変だが、食材のやりくりのような視点がしっかりしているので、あまり奇抜な食材や調味料が出てこない。この夏野菜カレーもローレルがちょっと珍しいが、ほかは基本的にあり合わせの調味料でいけるレシピだ。「弱火でじっくり」が定石のタマネギの炒め方も、調理時間的に「弱火にしすぎない」ほうがベターという実践的なやり方を紹介しているのが◎。
価格:600円

萌えるカレーマンガ
……が、禁断のプリンカレーにも挑戦


「カレーの王女さま」(仏さんじょ)1巻
食べたくなる度:★★★☆☆
実食しやすさ:★★★½☆
カレーの限界への挑戦:★★★★★

3品目はカレー大好きな王女が主人公の4コマ作品。カレーをダシに萌えマンガをやっているだけかと思いきや、カレーマンガ的にはかなりチャレンジングなところを攻めている。単行本冒頭ではカレーのトッピングの限界に挑戦。手始めにきなこから始まり、フルーツミックスなどトッピングに使わない食材に次々チャレンジし、最終的にプリンカレーまで到達している。しかもプリンカレーは写真入りで。このほか、カレーチョコやカレーラムネなど、実在するキワモノカレー商品をふんだんに紹介しており、カレーの限界を探求するこよなきカレー愛を感じさせる。
価格:860円

カレーは哲学するか?
日常風景としてのカレーをめぐる物語


「カレーの王子さま」(川原泉)(「空の食欲魔人 川原泉傑作集」収録)
食べたくなる度:★★★½☆
実食しやすさ:★☆☆☆☆★★★★★
日本の食卓度:★★★★★

4品目はカレーをモチーフにした名作短編。とにかく食欲旺盛で脳天気な夫と、専業主婦になった妻の憂鬱をユーモラスに、あたたかく描いている。食い意地の張った夫にいらつく妻だが、最後に夫とふたりの関係をカレーが救うという不思議なお話だ。いってみれば、作中のカレーは添え物であり、レシピが充実しているわけでも、実際に食べにいけるわけでもない。だが、本作での「カレー」をほかの食べ物に置き換えるのは、意外と難しい。同じく家庭料理の定番でも「味噌汁」ではごちそう感がない。子どもの好物っぽさを表現するにも「ハンバーグ」では中毒性を感じない。極めて日常的な食べ物でありながら、特別なごちそう感もあり、家庭や家族を象徴するメニューでもあるという、カレーの不思議さを改めて噛みしめさせてくれる。作中のカレーはどこにいっても食べられないが、同時に作ればいつでも食べられる、普遍的なカレーなのだ。
価格:650円

食べたくなるマンガの最終兵器
これぞ“語るカレー”


「めしばな刑事タチバナ」(原作:坂戸佐兵衛/作画:旅井とり)4巻
食べたくなる度:★★★★★
実食しやすさ:★★★★☆
語りたくなる度:★★★★★

5品目はもはやおなじみのB級グルメマンガの決定版。牛丼や立ち食いそばから、袋ラーメンや缶詰など、男の一人暮らし(特に都心部)なら必ずお世話になったことのある、チェーン系・量産系ソウルフードをウンチクたっぷりに語る本作では、もちろんたびたびカレーが登場している。1巻ではチェーン系カレーを扱っているが、語られるのはCoCo壱番屋などではなく、C&Cカレー。このチョイスからして渋い。その後も3巻で袋入りカレーうどん、5巻ではネットでも話題を呼んだ本格タイカレーふうの「タイカレー缶詰」と、たびたびカレーを扱っている。なかでも今回取り上げた4巻は、「レトルトインドカレー」から始まり、「コンビニカレー」、松屋のカレー変遷を語る「トマトカレー」など、実に3回ものカレー回を収録。また、以後たびたび登場することになるカレー好き・早川くんが初めて現れるのもこの巻だ。
価格:580円

食べにいけるカレーから、作るカレー、語るカレーまで、さまざまなカレーマンガだが、ここまでの5冊をすべて買っても3310円。さらに「めしばな刑事タチバナ」で紹介されている「新宿中村屋 インドカリー スパイシーチキン」がAmazonで2個パック500円で販売されているので、読んで、さらにこれを買っても3560円で済む(カレーは単価で計算。2012年9月27日現在)。Twitterでカレーが食べたくなった人は、いっしょに“読むカレー”を試してみてはいかがでしょうか。

記事:ネルヤ編集部

関連リンク
新書館 | 書籍 詳細ページ | カラスヤサトシの日本びっくりカレー
モーニング公式サイト – 『きのう何食べた?』作品情報
まんがタイムきらら – 作品紹介ページ – まんがタイムきららWeb
白泉社オンライン|白泉社
めしばな刑事 タチバナ — 徳間書店

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