都市伝説! 異能者! 人外! でも、全員“抜けてる”ダメ人間っぽいんだよなぁ――「東京カラス」(宮下裕樹)



「東京カラス」(宮下裕樹)
オカルト・ファンタジー度:★★★½☆
コメディ度:★★★★☆
ヒューマン度:★★★★☆

「東京カラス」(宮下裕樹)は、コザキユースケ原案ではあるが、現代劇らしさとファンタジー活劇らしさがしっかり溶け合った実に宮下裕樹らしい作品だ。車と同スピードで失踪する婆さん、人の失踪といった都市伝説に、カラス娘など人外キャラとともに女子高生が挑む。オカルト、霊能力、人外など、少年誌的ヒーロー譚を予想させる題材だが、ベースはどちらかというとコメディになっている。物の怪の類にチョークスリーパー決められてタップする主人公・満子とか、全体的に独特のユーモラスさがある。

何より“宮下らしい”と感じさせるのは、登場キャラクターたちのダメっぽさだ。主人公・満子は、運動神経抜群で都市伝説解決を請け負っているにも関わらず、肝心の霊感はゼロ。ちょっとダメなのは、主人公たちだけではなく、各エピソードで登場する依頼者たちも激マズ料理しか出せないのに客を奪った近所のファーストフード店を逆恨みする学食のオッサンなど、「困っている善良な人たち」というより、ちょっとろくでもないキャラクターばかり。現れる物の怪も単なる悪いやつでないほほえましさを持っている。だからこそ、そこで描かれるのは、単なるオカルト能力バトルではなくなる。ダメな部分を抱えたキャラクターたちを突き放しつつ、愛情たっぷりに描く、毒気のあるヒューマンドラマっぽさが、本作と宮下裕樹の魅力なのだ。

【ここにも注目!】
同じ宮下裕樹の「正義警官モンジュ」に出てくる神谷シノにも共通するが、主人公・大島田満子のSッ気の魅力が。基本ドSっぽくて容赦なく血管浮き上がったりするのに、意外と抜けてて実は天然なんじゃねーかっていうところが、くすぐりまくるというか、あ、そういう性癖の話はもういいっすか? もうちょっと語りたいんですけど(ry

(このレビューは第1巻時点のものです)

記事:ネルヤ編集部

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東京カラス|GX新連載~春の陣~|小学館コミック -サンデーGENE-X-

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