動物×子どもという二枚看板、禁断の組み合わせ、悔しいけどやっぱり癒される!――「うどんの国の金色毛鞠」(篠丸のどか)



「うどんの国の金色毛鞠」(篠丸のどか)

かわいさ:★★★★½
スローライフ:★★★★½
疑似家族体験:★★★★☆

「子どもと動物は数字を取れる」とはテレビや広告業界でよくいわれることだが、子どもかつ動物なんていう離れ業ができるのがマンガだ。本作は、東京で暮らすウェブデザイナー・俵宗太が、亡くなった両親が営んでいたうどん屋を整理するために地元香川に戻ってきたところから始まる。そこで出会うのが、なんとタヌキが化けた不思議な子ども、ポコだ。

まずは何といっても、ペットっぽさと子どもらしさの中間をつくポコの挙動のかわいさが見どころだが、本作ではさらに田舎のスローライフ感と、疑似親子関係という切り口が入ってくるのが秀逸。東京で働きながら一人暮らしをしている人間が抱える、自由であることと引き替えに、自分のためだけに生きる寂しさを、「うどんの国~」はうまくすくい上げている。結婚して子どももいる地元の同級生との再会など、青年から大人へのステージチェンジを、ゆるやかに、そして幸福に提示してくれるところが、ある種の独身世代を打ち抜いてくる。

【ここにも注目!】
地元在住の初恋の相手と再会とかね、いいとこ突きますよ、本当、このマンガ……。このエピソードがまたね、いい具合に美しく、かつSAN値を削ってくる感じでね……もうたまらんわけです。たまらん……たまらんで……(※個人的な体験が蘇っているようです)。

(このレビューは第1巻時点のものです)

記事:ネルヤ編集部

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