「午後のグレイ」(活又ひろき)
爆笑度:
技巧派:
萌え:
個人的な印象でいうと、最近破壊力のあるギャグっていうと、「バカ」か「シュール」が圧倒的に多い。もちろん良質なギャグ、コメディっていうのもあるんだけど、声を出して噴き出してしまうような作品は、たいていどこか尖っている。
「午後のグレイ」はそういうなかにあって、極めて正統派なギャグだ。「平凡な高校生がある日宇宙人に遭遇し、彼らの生体実験に協力することになる」という設定は確かに突飛だけれど、それ自体は「バカ」でも「シュール」でもない。物語の骨組みは、ギャグとしてはフツーだ。が、切れ味はすごい。レビューのために読み返しても笑ってしまった。主人公の太地くんは、実験によって異星人の特殊能力を手に入れるのだが、毎回毎回、期待に反してゲットできるのはガッカリ能力ばかり。もう期待ハズレを通り越して、的外れ。が、本作に爆発的な面白さを与えているのは、その的外れ感以上に、間の取り方のうまさだ。ページまたぎでのオチの付け方や、1つのギャグに対するリアクションや前ふりに1ページ使ったりするようなテンポ作り、構成のうまさは職人芸といっていい完成度。発想だけでなく、そのポテンシャルを最大限に引き出す技巧で笑いを取る、正統派かつ実力派ギャグだ。
【ここにも注目!】
ギャグとしての完成度はもちろん高いのだが、一方で宇宙人のヒロイン・ソルちゃんのかわいさも秀逸。造形的にいっても“THE萌えキャラ”といった感じではないにもかかわらず、ちゃんとキュートなのが見事だ。
記事:ネルヤ編集部
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