新ジャンル:ほのぼの暴力4コマ——「彼とカレット。」(tugeneko)


突然ですが、クイズです。週刊アスキーPLUSで連載中の4コママンガ「彼とカレット。」(tugeneko)はどんな作品でしょう? 次の5つから選んでください。

1.10トントラックを片手で持ち上げられるほどの実力を持つ家政婦ロボット・カレットさんに大学生(っぽい)イケダくんがボコボコにされる日常4コマ

2.間違えて秋葉原のPCショップに配属されてしまった家政婦ロボット・カレットさんと、店長のイケダくんの日常4コマ

3.女の子のいい匂いのする家政婦ロボット・カレットさんの匂いを嗅ぎまくるイケダくんがボコボコにされた上でゴミ捨て場に捨てられる4コマ

4.雪玉を簡単に鉄球並みの凶器に変えられる家政婦ロボット・カレットさんが「男女に分かれて、男性チームが死ぬまで続ける」というルールで雪合戦をし、パンツのことしか考えていないイケダくんをボコボコにする日常4コマ

5.作者が駄々をこねた結果、全ページカラーで単行本が刊行された日常4コマ

まぁ、冒頭で連載がPC系サイトとして知られる週刊アスキーPLUSであるというビッグヒントを出しているので、少々簡単すぎたかもしれませんね。

というわけで、答えは2以外全てでした。間違えたやつは腹筋でもしてろ。

そんな感じで、「彼とカレット。」は、家事をまったくしない家政婦ロボット・カレットさんと、彼女が派遣された家の主・イケダくんの日常を描いた4コママンガだ。もちろん、日常マンガといっても、カレットさんがデレてくれるような生やさしい萌えマンガでもないし、ロボットと人間の心温まる交流譚でもない。カレットさんは横暴&バイオレンスであり、イケダくんはノーモーションでセクハラを繰り出し、「ギャグマンガじゃなかったら即死だった(あるいはギャグマンガでも死ぬかもしれない)」レベルの鉄拳制裁を受け続ける。新ジャンル、ほのぼの暴力マンガだ。

カレットさんのふてぶてしいまでの暴君ぶりももちろんだが、何より読者を魅了するのがイケダくんの不屈のセクハラ魂。普通なら多少は躊躇したり、照れたり、悪びれたりといったそぶりを見せるのだが、イケダくんは一切そういうそぶりを見せない。股間に顔を埋めたながら「晩御飯食べますか?」とか日常会話を進める。まさに今もっともクールな変態。これこそクールジャパンだ(誤解)。

そういった感じで、週アスPLUS上でも大人気(たぶん)で、現在も絶賛連載続行中なのだが、先月満を持してリリースされた単行本には巻数表記がなく、ファンに対して「1巻が売れなかったら次は単行本化しないからな」というプレッシャーをかけてきている本作。割と切実に続刊も読みたいので(僕が)、このレビューを読んだ人は問答無用でリンク先のウェブ掲載分を読んで、その後速やかに書店に単行本を買いに行っていただきたい。

(このレビューは第1巻時点のものです)

記事:小林聖
フリーライター。ネルヤ編集長。2012年の年間マンガ購入数が1000冊を超えてました。読むナビさんでオススメ紹介を始めてます。Twitterアカウントは@frog88

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彼とカレット。

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