究極のモフリビリティーは鳥のお尻にある! もふもふと癒やしの喫茶4コマ——『とりきっさ!』(ノブヨシ侍)


 動物は2種類しかいない。もふれるやつと、もふれないやつだ。

 というような言葉があるわけではないのだけれども、もふもふ感というのは動物を愛でる観点のひとつとしてすっかり定着した。で、このもふれる感(モフリビリティー)が高い動物としてよくあがってくるのは何かというと、やはり犬(特に子犬)や猫(特に子猫)がその代表。続いて、うさぎやハムスター、パンダや鳥、アザラシといった動物があがってくる感じだ。

 モフリビリティーの最高峰がどの辺かというのは、それぞれの好みにもよってくるところだが、個人的にはやっぱり高いモフリビリティーにはそれなりのサイズ感が伴うと思う。「もふっと顔や体、手などをうずめたい」という欲望を満たしてくれるものほど、モフリビリティーは高い。

 そういう意味で、モフリビリティーを考えるとき、個人的には鳥やハムスターというのは割とランクが低かった。

 が、だ。ここにきて鳥がもふもふ界の王者として急上昇してきた。鳥、正確にいえばトリビトだ。

 トリビトというのは、『とりきっさ!』(ノブヨシ侍)に出てくるキャラクターたちだ。体の一部が人間、一部が鳥で、基本的に人の言葉を喋れる。カテゴリーとしては人外の一種だが、人の部分が顔だったり体だったりとまちまちで、性格や性質上も鳥の要素が比較的大きいため、印象的には擬人化とか喋れる動物モノという感じだ。

 『とりきっさ!』はそんなトリビトの姉妹が営む喫茶店を描く(基本)4コマ作品。喫茶店がどんなものなのかもわからないまま営業しているリンとスズのトリビト姉妹のお店に、サラリーマンのヒロカズが迷い込むところから始まる。

 まだ幼いスズがお店そっちのけで遊んだり、しっかり者に見えて実は抜けてるお姉さんのリンが天然ボケをかましたりと、もうとにかく癒やされる。俺もスズちゃんに懐かれたい!!

■ぼってりお尻のもふもふ感に存分に癒やしてもらえる『とりきっさ!』

 というような感じで、話自体も大変なごむのだけれども、何が僕にとって革新的だったかというと、トリビトのモフリビリティーの高さだ。

 ある程度大きい方がモフリビリティーは高くなるのだけれども、一方でそこそこ大きい動物は実際にはどうしても毛が硬くなってきたりする。もちろん、もっふりはしているのだけれども、案外ゴワゴワっとしていることが多く、柔らかさという点ではモフリビリティーが低い。

 一方で、小動物は抱きついたりはできないものの、とにかく柔らかい。特にヒヨコなどをはじめ、小鳥のふんわり感は「さすが羽毛……!」と思わされたりする。

 で、トリビトだ。トリビト、とりわけ顔が人間で体が鳥というリンとスズの姉妹は、このジレンマを一気に解消してくれる存在なのだ。何しろフワフワモコモコの鳥の体で、サイズはほぼ人間と同じ。これはもう理想のモフリビリティー!

 特に『とりきっさ!』がくすぐってくるのはお尻から足のライン。ふっくらした尾羽まわりのボリューム感たっぷりのフォルムは、ずっと見ていたくなる魅惑のモフリビリティーがある。さらにそのもっふり感と対照的な華奢な足というのがまた何ともいえずかわいい。鳥の足まわりがこんなにキュートだったとは、『とりきっさ!』を読むまで気づかなかった……!

 普段は喫茶店らしくワンピースにエプロン姿のトリビト姉妹だけれど、小さくてヤンチャさの残るスズは、跳んで跳ねて飛びついてと、ちょくちょくぼってり尾羽まわりを見せてくれるもんですから、もう、ね! 単行本が出てから尾羽まわりのシーンを眺めて癒やされる毎日ですよ! 単行本2巻のカバー(裏面も含め)みたいに、片足をひょいっと上げてるスズの姿もいかにも鳥らしさが感じられてまたグッとくるところ。

 そんな感じで、鳥のキュートさとモフリビリティーに目覚めさせられる本作。もふもふ感を求める皆さんにぜひ手にとってもらって、癒やされて欲しい作品だ。

記事:小林聖
フリーライター。ネルヤ編集長。年間のマンガ購入量はだいたい1000冊ほど。特に好きなのはラブコメです。Twitterアカウントは@frog88

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とりきっさ!|月刊COMICリュウ

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