究極のモフリビリティーは鳥のお尻にある! もふもふと癒やしの喫茶4コマ——『とりきっさ!』(ノブヨシ侍)

 動物は2種類しかいない。もふれるやつと、もふれないやつだ。

 というような言葉があるわけではないのだけれども、もふもふ感というのは動物を愛でる観点のひとつとしてすっかり定着した。で、このもふれる感(モフリビリティー)が高い動物としてよくあがってくるのは何かというと、やはり犬(特に子犬)や猫(特に子猫)がその代表。続いて、うさぎやハムスター、パンダや鳥、アザラシといった動物があがってくる感じだ。

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スカート男子高校生・桃井くんの自由が大人世代にもたらすもの——『ボーイ★スカート』(鳥野しの)

 読み終わったあと、改めて『ボーイ★スカート』(鳥野しの)のカバーを眺めたとき、なんだかふと「民衆を導く自由の女神」の絵を思い出した。フランス国旗を掲げ、革命を先導する女性のあの絵だ。スカートを履く少年の姿は颯爽としていて、美しい自由をはためかせているように見えたのだ。

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ありきたりさの先にある無二のドラマ性——「四谷区花園町」(高浜寛)

ドラマチックな物語というのは、それだけで人を惹きつける。見事なドラマ性をつくれれば、その物語は名作になり得るといっていいだろう。だが、じゃあ、ドラマチックでない物語は、面白くないのだろうか?

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すべての彼氏はトドである。ケモナー系の形をしたアラサーカップル共感マンガ——「トド彼」(高嶋あがさ)

2011年のケンタウロスマンガブーム以降なのか、「モンスター娘のいる日常」(オカヤド)の快進撃以降なのか、それともそれ以前からの定番とみるか、どこを契機とするかは難しいが、ここ数年で、一般商業誌における人外系作品、ケモナー向け作品の存在感は確実に増してきている。

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大人の正しさと、少女の目の前にある痛みを両方許す癒やしの寓話——「屋上の君」(瀬川藤子)

32歳、このところ年を取ったなと痛感することがある。もちろん大人としてはまだまだひよっこという年齢で、老人ぶるような年ではない。だけど、そういうのとは無関係に、だんだん昔のことを忘れはじめている自分がいる。

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世界の終わりとシュールギャグ……悲しいときは「オンノジ」を思い出そう——「オンノジ」(施川ユウキ)

「最近のオススメは?」と100人に聞かれて、100人にとはいわないまでも、80人か90人くらいには自信を持って薦められる作品というのがある。もちろんそれは素晴らしい作品だ。だけど、じゃあ、あくまで個人的に、自分が墓場まで持っていきたい作品は何かと聞かれたら、案外そういう作品じゃなかったりすることがある。

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中二病との向き合い方——「とげぬきハトちゃん」(久世番子)

中二病を語るとき、その人もまた中二病に立ち戻っている。そういうことが、実はある。

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「おっかない人」がくれるもの——「アリスと蔵六」(今井哲也)

僕らはときどき「おっかない人」のことを懐かしく思い出すことがある。頑固オヤジや学校の先生、トラディショナルなヤクザの親分……。実際に知っている人かどうかとは無関係に、おっかない人は、どこか僕らを懐かしい気持ちにさせる。

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13歳の少女は、猫と出会って大人になる——「魔女と猫の話」(四宮しの)

少女マンガだな、と思う。「魔女と猫の話」(四宮しの)は、少女マンガの恋ではない部分の遺伝子をしっかりと受け継いでいる。いや、もしかしたら、恋の物語といってもいいかもしれない。

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仕事における「主役」は誰なのか?——「重版出来!」(松田奈緒子)

「脇役にスポットを当てた作品」といわれるドラマはたくさんある。お仕事マンガというジャンルでは、特にそうだ。出版業界を描いた作品でいえば、「働きマン」(安野モヨコ)なんかが一番知られているだろう。そこでは、出版という世界の、いろんなポジションの人間のドラマが描かれている。

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同棲相手はホワイトボード!? 「見えない」とは最強の萌えなのかもしれない——「のぼさんとカノジョ?」(モリコロス)

「萌え」は、猫耳やアホ毛、ツインテール、メガネッ子など、記号化・定型化文化とともに進化してきたという側面がある。ある意味では、現実以上にビジュアルが担っている意味は大きいかもしれない。だが、「のぼさんとカノジョ?」(モリコロス)は、そのまるで逆の方法で強烈な「かわいさ」を演出している。

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本物の家族でないからこそ、かけがえのない瞬間がある——「箱庭へブン」(羽柴麻央)

羽柴麻央という人は、長いこと少女を描く人だった。キャラクターが実際に少女だということでもあるが、それ以上に“少女らしい繊細な感性”を描く人という印象だったということだ。

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“男の妊娠”はフィクションか、それとも現実か?——「ヒヤマケンタロウの妊娠」(坂井恵理)


「ヒヤマケンタロウの妊娠」(坂井恵理)
社会ドラマ:★★★★☆
ハートフル:★★★★☆
SF性:★★☆☆☆

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闇雲にインターフォンを押す覚悟と蛮勇――「誰がそれを 田中相短編集」(田中相)

本作には「闇雲にインターフォンを押すようなこの仕事が気に入っている」と語る宅配便のドライバーが登場する「THE WORLD」という短編が収録されているが、これはまるで「誰がそれを」を象徴するようなセリフだ。

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水谷フーカとラジオという幸福なカップル――「満ちても欠けても」(水谷フーカ)


「満ちても欠けても」(水谷フーカ)
ハートフル:★★★★½
恋愛:★★★★☆
ラジオ愛:★★★★★

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