少女の上位概念としての「男の娘」——「君の中の少年思考」(金子歩)

「君の中の少年思考」(金子歩)1巻の帯には「ノンケの君にバーン!」というフレーズが入れられている。そう、本作は「エロ大臣」と呼ばれる男子高生の反町と、男の娘系の同級生(男)のラブストーリーなのだ。

»続きを読む

グルメマンガだと思った? 残念、「実録・東村アキコ伝説」でした!――「いいなりゴハン」(森繁拓真)


「いいなりゴハン」(森繁拓真)
食マンガ度:★★★☆☆
ドキュメンタリー度:★★★★½
東村アキコ:★★★★★

»続きを読む

アブノーマル思春期の旗手、ふみふみこのイノセンスとは何か?――「さきくさの咲く頃」(ふみふみこ)

青春というのは、大人になる前の幸福なモラトリアムとして機能している。挫折や失敗があるにせよ、プレ大人としての自由と、子ども的なイノセンスが同居することを許される、輝かしく描かれる季節だ。だが、ふみふみこの想像力は、青春を喪失の物語としてとらえた。

»続きを読む

“ニューウェイブ”という想像力とポスト3.11——「変身のニュース」(宮崎夏次系)

西村ツチカ、ふみふみこ、市川春子といった作家たちが次々と作品を発表し、21世紀のニューウェイブと評されるようになったのは去年あたりだったろうか。いわゆるマンガとはちょっと違う文脈を持った絵柄に、ファンタジーとも現代劇とも言いがたい独特の世界観……彼ら、彼女らの作品群には、そういう不思議な手触りがある。

»続きを読む

史実の無駄遣い! 正史系なのにクズだらけの三国志——「漢晋春秋司馬仲達伝三国志 しばちゅうさん」(末弘)


「漢晋春秋司馬仲達伝三国志 しばちゅうさん」(末弘)
史実度:★★★★½
フィクション度:★★★★★
バカ:★★★★★

»続きを読む

毒っ気たっぷりの女子高生たちを貫く神秘性――「平成生まれ」(ハトポポコ)


「平成生まれ」(ハトポポコ)
シュール度:★★★★½
萌え:★★★★☆
ミステリアス:★★★★½

»続きを読む

これはムッチリマンガだ、断じてぽっちゃりマンガではない——「先生!! 原稿下さい。」(中島守男)

今日はレビューを始める前に大事な話がある。諸君、「ムチムチ」と「ぽっちゃり」は違う。もう一度いおう。「ムチムチ」と「ぽっちゃり」は違う。

»続きを読む

Uターン無職が10歳の姪と暮らす、癒やしの田舎ファンタジー――「銀のニーナ」(イトカツ)


「銀のニーナ」(イトカツ)
癒し感:★★★★☆
天真爛漫幼女:★★★★☆
田舎ファンタジー:★★★★½

»続きを読む

正統派を少し外した、ちょっと黒いヒロインたち――「ティーンズカンパニー」(吉井マリ)


「ティーンズカンパニー」(吉井マリ)
爽やかさ:★★★☆☆
性格の黒さ:★★★★☆
期待感:★★★★☆

»続きを読む

さよならの日のために——「夜さん」(佐原ミズ)

かつて「全ての言葉はさよなら」と歌ったのはフリッパーズ・ギターだった。あれから20年以上たった今、「夜さん」(佐原ミズ)を読んだあとこのフレーズのことを思い出した。ただし、その言葉は初めて向き合ったときとはまったく違う重さになっていた。

»続きを読む

都市伝説! 異能者! 人外! でも、全員“抜けてる”ダメ人間っぽいんだよなぁ――「東京カラス」(宮下裕樹)


「東京カラス」(宮下裕樹)
オカルト・ファンタジー度:★★★½☆
コメディ度:★★★★☆
ヒューマン度:★★★★☆

»続きを読む

彼氏と彼女、両方の視点で描かれるケンカの顛末は? すれ違ったまま「ふたり」でいる幸福――「喰う寝るふたり 住むふたり」(日暮キノコ)

すれちがいというのは、恋愛劇の基本中の基本だ。好き合っているふたりが、誤解や不理解ですれちがい、やがて互いの真意を知って結びつく。カタルシスに満ちた恋愛劇の王道だ。だが、「喰う寝るふたり 住むふたり」(日暮キノコ)は、その逆をドラマにしている。

»続きを読む

幻の60年代に閉じ込められた、永遠の友情と青春——「坂道のアポロン BONUS TRACK」(小玉ユキ)

「坂道のアポロン」(小玉ユキ)が番外編にあたる「BONUS TRACK」をもって完結を迎えた。60年代の長崎を舞台にジャズと友情、恋を描いた本作は、00年代以降を代表する青春譚のひとつといっていいだろう。しかし、一方で本作は、青春譚としては、やや異色な部分を持っている。

»続きを読む

“怪談になる前”の異形の一瞬――「後遺症ラジオ」(中山昌亮)


「後遺症ラジオ」(中山昌亮)
トラウマ:★★★★½
異形感:★★★★☆
不安感:★★★★½

»続きを読む

以心伝心よりも美しい夫婦関係――「お嫁さんは神様です。」(瀬川藤子)


「お嫁さんは神様です。」(瀬川藤子)
ほのぼの:★★★★½
ラブラブ:★★★★★
女性キャラの力強さ:★★★★½

»続きを読む

いつの間に僕は伊藤理佐で泣くようになったのか?——「おいピータン!!」(伊藤理佐)

一体全体、いつの間に伊藤理佐はこんな作家になったのだろうか? 約3年ぶりの「おいピータン!!」(伊藤理佐)の新刊を読んで涙をこらえながら、電車の中でそんなことを考えていた。

»続きを読む

原作と作画が噛み合い始める瞬間――「我妻さんは俺のヨメ」(原作:蔵石ユウ/漫画:西木田景志)


「我妻さんは俺のヨメ」(原作:蔵石ユウ/漫画:西木田景志)
思春期童貞ノリ:★★★★☆
パロディギャグ:★★★½☆
SFヒューマンドラマ:★★★½☆

»続きを読む

巨大番長! 爆裂する金玉! 悪ふざけにしてガチの学園能力バトル――「戦闘破壊学園ダンゲロス」(漫画:横田卓馬/原作:架神恭介)


「戦闘破壊学園ダンゲロス」(漫画:横田卓馬/原作:架神恭介)
悪ふざけパロディ:★★★★★
本格能力バトル:★★★★½
演出力:★★★★½

»続きを読む

24歳、宮大工見習い。先送りし続けたコンプレックスに光を当てる“遅れてきた青春譚”――「かみのすまうところ。」(有永イネ)

大人はしばしば子どもに対して「何にでもなれる」と教える。子どもにはあらゆる可能性があることを、希望として語る言葉だ。しかし、「何にでもなれる」ことは、残酷でもある。“何にでもなれる人”は、年を重ねるとともに“何者なのかわからない人”になるからだ。

»続きを読む

“平坦な戦場”の子どもたちが手にした、かすかな救い——「ワールドゲイズ クリップス」(五十嵐藍)

「平坦な戦場でぼくらが生き延びること」。かつて岡崎京子が「リバーズ・エッジ」という作品で引用したそんな詩の一節は、彼女の作品世界と時代を象徴する言葉のひとつとなり、ぼくらを熱狂させた。

»続きを読む

恋をすれば生き返れる……ミステリーテイストの“邪道”のラブゲーム――「僕らはみんな死んでいる♪」(きら)


「僕らはみんな死んでいる♪」(きら)
ミステリー度:★★★★☆
ヒューマンドラマ度:★★★★½
“邪道”感:★★★★½

»続きを読む

180cm、ブスだけどモテる異色家政婦の人気シリーズ——「誰そ彼の家政婦さん」(小池田マヤ)


「誰そ彼の家政婦さん」(小池田マヤ)
お料理マンガ度:★★★½☆
男前度:★★★★½
心に染みる度:★★★★½

»続きを読む